サンライズ(Sunrise) 1927年
F・W・ムルナウ監督作品
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BA_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
原作はドイツ人のヘルマン・ズウデルマンの短編小説「Die Reise nach Tilsit」
ムルナウ監督もドイツ人。
第一次世界大戦前のドイツは、映画先進国。
アメリカは、発明王エジソンの独裁から逃げ出してハリウッドを作ったことからも見て取れるように、映画後進国。
第一次世界大戦で敗戦、ボロボロになったドイツ映画界にアメリカ映画界が提案した残酷なプランは、
①「ドイツ映画界の復興をヒーローアメリカの資金援助で達成しましょう」
②「そのかわり、ドイツ映画界の技術者やノウハウをアメリカハリウッドに流入します」
現在のハリウッドはこのときのドイツ系移民の流入なしでは語れない。
都会の悪女と、農村の善人。
幸せの絶頂と、どん底。
2分法で固められたコントラストによるメリハリが、人間の感情を揺れ動かす。
そして、完璧な構図だからこそ達成された流れるような映像美。
完璧な構図を達成するために全シーンがセット撮影。
字幕を可能な限り少なくして、視覚に訴えるドイツ表現主義の名作。
●構図(静止画)
絵画を書く構図
・構図と色が密接に関係している。
・構図も色も自由に変形できる。
写真を撮る構図
・構図も色も自由に変形できない。
・余計なものを撮らない。
・遠近法で立体的に見せる。
・縦横均等に2本のラインをイメージし、9等分した面積のバランスを考慮する。
映画を撮る構図
・構図も色も自由に変形できない。
・スクリーンサイズが決まっている。
・意味のない平面を作らない。
・意味のない遠近感を作らない。
・空間に無駄を作らない。
・唐突なアングルで観客を困惑させない。
・カメラワークを観客に意識させない。
・照明をしっかり学ぶ。
・画面を暗くしない。暗いと構図にアクセントが生まれない。
このように、映画の構図では欠点を排除することが求められるので、失敗が嫌いな日本人に向いているw
全シーンをセット撮影する利点は、構図と色と照明を自由に変化させることができるところ。
これはゲームでも同じなので、ゲームの構図は、セット撮影だと思って、照明と絵画的構図を知ることが必要。