市民ケーン(Citizen Kane) 1941年

オーソン・ウェルズ監督作品 

市民ケーン [Blu-ray]

市民ケーン [Blu-ray]

 

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E6%B0%91%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%B3

 

自分が正しいことを証明したいだけの男、新聞王ケーンの生涯を描いた作品。

モデルは新聞王ハースト。

この時代、リーダーシップ論やマネジメント論はまだ完成しておらず、多くの経営者が孤独と人間関係に悩まされていた。

 

「俺流」を語っている経営者にぜひ見せたい作品w

 

亡くなった人間の痕跡をたどるという物語は、特定人物の生涯を描くには使い勝手が良く、多くの作品で散見される。
「薔薇のつぼみ(人生のジグソーパズルの一つ)」はそのきっかけに過ぎない。

新聞王ケーンが自分の一生を見せることで、父親から受け継いだ「負の連鎖」を断ち切ってほしいとの願いを感じる。

 

旧ソ連モンタージュ理論ドイツ表現主義、これまでのあらゆる映画手法を集約させた、アメリカ映画史上最高の傑作。

監督兼主演のオーソン・ウェルズが、第2次世界大戦中に、20代半ばでこの映画を完成させたのは驚きの一言。

フラッシュバックを多用して時間軸を操作することで、観客に考えることを要求する手法は、アニメ「少女革命ウテナ」、ゲーム「FF7」でも使われ、自分の一生を追わせる手法は、アニメ「パトレイバー」劇場版第一作目でも使われた。

 

ちなみに、実在の人物、新聞王ハーストが言う薔薇のつぼみは、愛人マリオンの「あそこ」のこと。

ど下ネタ。

ハースト大激怒、オーソン大爆笑。

 

●広角レンズ

 画角が広く、焦点距離が短いレンズで、デフォルメ効果が生まれる。

 押井監督が大好きな魚眼レンズは、広角レンズの歪曲収差を意図的に利用したレンズであり、虚構の世界を観客がのぞいている様(虚構の世界が観客をのぞいている様)を描いている。

 エヴァ旧劇場版で、虚構の世界を観客がのぞいている実写をそのまんま差し込んだのは、センスが悪い。

 ごめんなさい、庵野監督。

 

●ローアングル

 ①被写体を見上げるように撮ったショット(カメラは斜め上を見上げている)

  ローアングルで撮らなくてもいいようなシーンをローアングルで撮ってこそ意味がある。

 ②被写体よりも低い位置から撮ったショット(カメラが水平の場合もある)

  高い建物、巨大な物体を撮る場合は、意図しなくてもローアングルになる。

 

●移動撮影

 動画にできて写真にできないことは、ズームショットと移動ショット。

 ポイントは観客に「カメラマン」を意識させないこと。
 映画のテンポに合わせるのがコツ。


 ズームショット

  メリット :カメラの位置固定でロングからアップに映像を変えられる。
  デメリット:ロングでは映像が歪む。アップでは遠近感がなくなる。


 移動ショット

  メリット :ズームをしながら視点移動もできる。
  デメリット:ズームほど急速な前進・後退ができない。